万年筆についてABOUT FOUNTAIN PEN

加飾技法と軸素材

加飾技法と軸素材

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蒔絵

漆を使用して装飾をする漆芸の一種を蒔絵といいます。
蒔絵(まきえ)とは、その名前のとおり「蒔く(まく)絵」という言葉から起こり、下塗りや絵付け、色付けなどの後に金粉を蒔いて散らし、立体感や豪奢なイメージを出す工程のことを指します。また、これらの工程の前に下塗り、後の上塗り次第で全体の出来栄えに大きな影響をもたらし、上塗りの後の研ぎ出し(ときだし:表面を研ぐことにより平滑にする)工程が最終的な作品の巧拙を決定します。なお、装飾として金粉以外に箔や切り金(きりがね:箔よりも厚みのある板状の材料)を使用する平文(ひょうもん)技法、卵殻(らんかく:白の色の方言するためにうずらや鳥の卵を細かく刻んだもの)、夜光貝やアワビなどの貝を埋め込んだ細工などは技法としての蒔絵とは区別されます。また、作品の表面を掘り込み、その部分に粉や箔を落とし込む沈金とも区別されています。

竹編み

竹細工の歴史は古く、日本人の生活文化と密接に関わってきました。その技は次第に工芸品として価値を高め、伝統工芸士が現代まで技を継承しています。当社竹編万年筆の作業工程は伐採した竹を煮て、素材を強くする「油抜き」に始まり、「荒割り」、「幅とり」、「せんひき」と竹ひごを作る多くの工程が続き、およそ幅2mm、厚さ0.2mmの竹ひご36本を使用して軸に編み上げます。茣蓙目の2種類は染色し錆漆仕上げを施しますが、横網代・虎斑は表皮の素材そのままを使用し、仕上げに漆を施して完成します。竹の織りなすパターンが美しくアンティークな佇まいを醸し出し、手に馴染む万年筆に仕立てました。

肥後象嵌

重厚で雅味ある「肥後象嵌」は赤サビから生まれた地鉄の美しい黒と、華麗に装飾された純金と、熟達の職人技が惜しみなく注がれた精緻な逸品です。象嵌の「象」は、かたどることを意味し、「嵌」は、はめ込むことを意味します。英語では象嵌はDamascene(ダマシン)と呼ばれ、この言葉はこの技術の発祥とされるダマスカス(8世紀・シリア)から来ており、その技術はシルク・ロードを介して遥か極東の日本にまで伝わりました。長い伝統を誇る肥後象嵌を万年筆と複合筆記具に施しました。

鍛金

日本での銀製品は古くは奈良時代にさかのぼり記録があります。江戸時代初期には、銀師(しろがね)と呼ばれる専門の銀職人が現れ古くから銀製品と親しんできました。銀器は1979年に通産省(現経済産業省)、1982年、東京都に伝統工芸品として指定されました。銀器製作には鍛金、彫金、切嵌の三部門がありそれぞれに伝統工芸士の称号が与えられています。上品な輝きとしっとりとした味わいを持つ銀。その銀の良さを高度で多様な技法を駆使して極限まで引出したのが鍛金技法です。銀を金床に当てて、金鎚で打って器型に絞ってゆき花瓶、香炉、急須などを製作し、金鎚を用いて槌目、ゴザ目、岩石目などの模様打ちをします。
手打ちによって丹念に打ち込まれた鎚目(つちめ)の違いが光りを受ける度に幻想的な輝きを放ちます。

金沢箔工芸

金沢箔工芸とは、古都金沢の伝統と文化の中で継承されてきた箔職人の高度な技と、金箔銀箔をはじめとした多彩な金沢箔を、株式会社箔一(本社:石川県金沢市)と共同で開発。箔貼り職人の手仕事により仕上げた工芸品です。また、長く使っていただけるよう円筒形への箔加飾にも対応した耐久性を確保する技術開発を行い、厳しい強度試験をクリアして金沢箔工芸品の卓越した技巧により仕上げました。

セルロイド

セルロイドはペンに限らず工業生産品に使用される以前にその発色の綺麗さからプラスチックが発明されるまで当用された材料です。
積層されたセルロイドの原反をスライスして板状にした材料を一本一本巻いてパイプ状にしたものをペンの形に成型しています。
セルロイドの材質として性質から、工程ごと乾燥等の工程をトータル半年掛けて施しています。
一般のセルロイド等のペンは、約2cm四方の角材を旋盤等で切削(くり抜き)していますが、当社では板を巻く独自の方法をとり続けています。
これが為にシームライン(巻いている合わせ目)がボディーにでますが、逆に言えばこれが独特な製法の証しです。
この独自の方法は金魚の様な柄の場合、切削製法にある柄の切れ目がなく均一に美しい表面が得られます。
また、その天冠や軸の先端にまでアール(曲面)加工を掛けて、ペンの全てがセルロイドで覆われる様に部材ひとつひとつを仕上げています。

屋久杉

屋久杉とは、屋久島の亜熱帯性気候と年間降雨量1万ミリという多雨に恵まれ、又台風の 目抜き通りに位置し、数千年もの風雪に耐え抜いて育った樹齢1000年以上の杉を屋久杉と呼んでいます。現在では自然保護の為、天然記念物に指定され、伐ることは禁止されて いますが、江戸時代に伐採された切り株や台風で倒れた倒木が屋久杉工芸品の材料として使われています。長い年月と厳しい自然の中で育った為、年輪が緻密で屋久杉が織りなす 秀麗な木目、堅牢できめ細かく美しい色艶が長寿の銘木として今や世界で珍重されています。この自然の芸術の極致とも言える材料を、当社では特に樹齢3000年の厳選された屋久杉をボディーに使用し、名匠によるアートとも呼べるクラフト技術にて美しい色合いの 木目など、1本1本異なる材料の良さを活かした万年筆を完成致しました。自然保護法等 の規制もあり、希少価値は更に高まるものと思われます。

革巻き

昭和41年に初めて筆記具に本革を巻いた万年筆''プラチナ・シープ''をご案内してから
曲面のきついペン軸に本革巻き加工をする技術を蓄積してきました。
革のベースとなる軸に特殊加工を施したこと、また巻いた革の継ぎ目が極小化する製法等末永くご愛蔵頂くために必要な要素を備えた逸品となりました。
尚、多機能筆記具のこちらの商品は、牛のヌメ革を軸に展開しています。
ヌメ革とは、タンニンなめしで仕上げた牛革のことを指します。
タンニンなめしは、渋なめし、植物なめしとも言われます様に植物より抽出した原料でなめしたもので、鉱物を原料とするクロームなめしと区別され、植物の樹皮や葉などに含有しているものです。
この製法により自然の皮革製品の質感である動物のシワ目や濃淡がより忠実に表現され、また手入れ次第で色合いや風合いが変化していくことで知られています。
当社では、この革の最も美しい部分のみをペンに採用しておりますが、自然素材故に一品一品が微妙に異なり、それもお楽しみ頂ける部分かと考えています。
天然のものである為、ご使用前や保管の際に革に残っている成分が白い粉状に噴いているものが偶に見られますが、これらも自然のものであるが為のことで、これらは木綿の布に水をしみこませた後、固く絞ったもので柔らかく拭き取ることで取り除くことができます。

ブライヤー

ブライヤーは、地中海沿岸地方原産のエリカ・アルボリアというヒース科の落葉低木です。
パイプやステッキの柄にも使われるため、熱に強く硬いという特徴があります。
25年~100年を経た株の塊状のこぶ(burl:バール)を使い、万年筆を作ります。
木目の美しさに人気があり、使うほどに光沢が出て、愛蔵の1本になります。
プラチナ万年筆ではこの部材を薄く成型し、軸のすべてがブライヤー(除くカバー部分)としています。
よくご覧頂きますと、その天冠部分の小さい部分までアール(曲面)加工を施しており、
時々店頭において、メーカーの技術者の方からその製法について不思議がられるほどです。

エボナイト

エボナイトとは世界最古の人工樹脂といわれ、天然ゴムが原材料の硬質ゴムです。 重量感があり熱を伝えにくい性質から、かつてはほとんどの万年筆に利用された素材です。特有の重量感と耐久性、温かみのある肌ざわりは他の材質では味わえない書き味です。

合成樹脂

万年筆に使えるのは耐酸性、堅牢性、美麗性、加工性に富むなどの条件を揃えた●AS樹脂●ABS樹脂●アクリル樹脂が中心。
加工やデザインの工芸が容易で、メッキ塗装によりファッション性が出せるのでよく使用されます。

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